特 集

この、「犬との共生に必要なマナー・家庭犬のしつけ方」は1〜10までをシリーズで載せていきます。

犬との共生に必要なマナー

家庭犬のしつけ方 1

 私は日頃、警察犬を含め、様々な目的の犬の訓練、しつけ、問題行動の矯正にたずさわっている訓練士です。また、国内で開催される様々な訓練競技会と毎年ヨーロッパ各地で開催される訓練の世界選手権に、日本代表として海外遠征をしている競技者でもあります。因みに、平成8年9月には、フィンランドへの遠征を控えているところです。


画 ゆーちみえこ

 先日、埼玉県警本部のある刑事さんが私のところにやってまいりました。この方は大変な愛犬家で、現在ラブラドールを飼育されておりますが、ご自分で訓練されて競技会に出場したりしている方です。この刑事さん、以前は警備の担当だったらしいのですが、現在は外国人専門の捜査官として捜査活動をしていらっしゃるそうです。その捜査の途中、たまたま私の訓練所の近くを通りかかり、ちょっと立ち寄りながらの話で、「この数年、日本に在住する外国人の数が増え、それにしたがって、外国人の犯罪も増える一方というわけで、車が増えれば交通事故が増えるのと同じ理屈ですね」とこぼしておりました。人と犬とのかかわりも同様です。 最近の調査では、5軒に1軒の割で犬を飼われている家庭があるという結果を聞いておりますが、当然、犬が増えれば犬の問題行動、様々な犬の事故が増えてくるわけです。

 このような社会背景の影響を受けて、ここ数年、私どもの訓練所のお客様の様子も大分、変わってきております。以前ですと、自分の犬を警察犬にしてほしい、訓練の競技会に出してほしいといったご依頼が多かったのですが、最近では、愛犬家の多くの方がしつけの問題、もしくは、問題行動の矯正のことで、どうしたら良いかというご相談が非常に増えてまいりました。

 犬のいる家庭生活は楽しいものです。特にしつけ正しく室内飼育された犬は、情緒豊かな潤いのある暮らしが倍増します。しかし、犬に正しいしつけをできない方は、室内飼育ほど犬の問題行動につながり、悩むことになります。愛犬家のなかには、犬との関係を深い愛情関係を保つなかで飼いたいと思い、同等な位置関係、つまり友人または姉妹兄弟のような関係を維持しようとする方も多く、中には、犬を旦那様扱いして犬との生活を楽しんでいる方も多くいらっしゃいます。


画 ゆーちみえこ

 しかしながら、人間は社会生活においても理性があり、相手の人が社会的にも経済的にも貧富の差があろうと、失礼のない気配りをして交際していますが、犬社会では順位性という強い習性があり、リーダーを頂点として強いものの順序にしたがって行動するものですから、犬の意思を尊重して、いいなりに欲望行動を満たしてあげていれば、犬は自分がリーダーだと認識して、勝手にわがままなボス的な犬が出来上がってしまうのです。

 新しく連載をお引き受けするに当たり、今回は特に次の点を強調しておきます。
 わがままにしない犬のしつけ3カ条
1. 散歩は、常に飼い主がリードし、イヌを前に行かせない。
(左横か後ろにつかせる)
2. 食事は、常に飼い主が先にはじめ、イヌは後にする。
3. 寝る時は、飼い主と一緒のベットにイヌを寝かせない。

【掲載は1999年(社)日本動物愛護協会の発行誌「動物たち」からを承認を得て掲載したものです】
(筆者 PD公認一等訓練士 藤井  聡)

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