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特 集 |
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欧米の訓練競技会というものは完全にスポーツ感覚で、訓練愛好者たちは、犬とともにスポーツ競技をしているんだという感覚で、競技会を楽しんでいるようです。今回の世界選手権の大会でも、ツゥールクという町のスポーツスタジアムを使用し、競技会が行われております。数千人もの観客が熱心に観戦する観客席の中で、自分の犬を連れたまま観戦するという姿は、よく見かけることができました。今年、たまたま私がスタンドで観戦をしているすぐ通路を挟んだ向こう側の観客席にシェルティーを連れた地元の方が観戦されていました。その犬は、飼い主の足元にきちんと伏せをしたまま、飼い主はビールを飲みながら、訓練の競技会を熱心に観戦しておりました。途中その飼い主が、一切犬に声をかけず、無視をしたまま黙って立ち上がり、そして、その場を立ち去ったのです。恐らくトイレに行ったものか、もしくは売店に何か飲み物でも買いに行ったのかわかりませんが、飼い主はしばらく戻ってこなかったのです。 |
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飼い主が戻ってくるまでの間、犬は何事もなかったように、そのままずっと伏せていました。戻ってきた飼い主も、黙って同じ場所に座り競技会を観戦し続けていました。その間約十分くらい時間が経過したと思いますが、犬は身動き一つせず、そこで居眠りをしながらおとなしく待っていたのです。私は思わずショルダーバックからカメラを出して、その犬の光景を撮影しました。 |
我々日本人社会での感覚では、このような光景に出くわすと、お利口な犬だな、偉い犬だなと感じますが、欧米の人たちにしてみれば、このような光景は日常当たり前の光景であると感じているようです。ですから、周りの人たちもこの犬に近づいてみたり、声をかけてみたり、撫でてみたりということは一切せずに、見て見ぬふりをしていたように思えます。周りの環境、周りの対応が、このような無視をしたような対応をしてくれることによって、その犬は、何の不安感を持つこともなく、じっと飼い主が戻るまで待つことができたのではないでしょうか。 |
【掲載は1999年(社)日本動物愛護協会の発行誌「動物たち」からを承認を得て掲載したものです】 (筆者 PD公認一等訓練士 藤井 聡) |
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