警察犬協会指定犬種

ボクサー

ボクサー

ボクサー

【原産地】 ドイツ
【起源】  ドイツには昔からBullen Beisyerという熊や猪狩りに使う口吻が大きく闘争本能の強い精悍な犬がいました。この犬にドッケ(旧型のデン)が混じりボクサーに似通った犬種が発生し、一般にはドッケと呼ばれていましたが、その後ボクサーの名称で呼ばれるようになりました。
 1895年2月英国系のブルドッグDrトーエンニーセンズトムを父とする、フロッキーというブリンドルの牡犬が生まれ、バイエルンの首都ミュンヘンにボクサークラブが創立されると、本犬が登録第一号として登録されました。
 ボクサーは英語名ですが、当時のドイツ人にとって英国は先進国だっただけに余り抵抗もなくこの犬種名が採用されたようです。
 段々愛好家の層も変り、熱心な人たちが犬種の改良に努力し、第一次大戦には軍用犬として活躍するなど、ドイツではシェパード犬に次いでファンが多く、数では少ないのですが訓練性能ではシェパード犬に一歩も劣らないでしょう。
 原産国のドイツボクサークラブでは、断耳を1987年から禁止していますが、当協会では平成元年4月から断耳、平成21年4月から任意とし現在に至っています。
【体高】 牡・57~63㎝  牝・53~59㎝
【体構比】 10対10
【言語性別】 牡(Rüde)・牝(Hündin)

ボクサー スタンダード(標準書)

【一般的外貌】 ボクサーは中型の毛のなめらかな逞しい犬で正方形の体型と力強い四肢を持つ犬です。
筋肉組織は隆々として力強く発達し、柔軟性に富みよく乾燥しています。
また動作は非常に活発で気品に富みます。
ボクサーは、体質が緩かったり 鈍重であったり、或いは体つきが貧弱であったり 華奢であってはいけません。
【体躯構成】
  1. 体長と体高
    背部と接する水平線、肩関節先端部および座骨隆起と接する2本の垂線、地面の線、それぞれを結んだ線が正方形をしています。
  2. 胸深と体高
    胸部は肘まで達し、胸深は体高の半分です。
  3. 鼻梁と頭部の長さ
    鼻梁と頭部の長さは1対2の割合です。
    (鼻頭から目尻の内側までと 目尻の内側から後頭部の骨迄の長さ)
【行動と性格】 ボクサーは、大胆で 自信に満ち、穏やかで落ち着きがあります。ボクサーの稟性は何にもまして重要なものであり、特に入念な配慮を必要とします。
主人とその家族に対する愛情と忠実性、警戒犬としての警戒性と恐れを知らぬ勇気は昔から良く知られています。
ボクサーは、家庭内においては無邪気ですが 見知らぬ者に対しては簡単に気を許す事がありません。また、たわむれているときは陽気で友好的ですが、いざという時には恐ろしいほど勇気があります。 ボクサーに備わっている従順な性格や度胸、勇気、生まれながらの鋭敏な感覚、および優れた嗅覚能力によって、訓練は容易に入ります。
手がかからずきれい好きである事も好ましく、家庭犬、警護犬、伴侶犬、作業犬としてふさわしく、またその性格は正直で、悪意や狡猾さは全くなく、これは年をとっても変わる事はありません。
【頭部】 頭部はボクサーだけが持つ固有の特徴を備えています。頭部は胴体に対して良い割合でなければならず、軽く見えても重く見えてもいけません。
口吻は出来るだけ巾が広く力強く無ければいけません。
頭部の美しさは、鼻口部と上頭部の大きさの割合が調和がとれているか否かにかかっています。頭部は前から、上から、又は横から見ても、鼻口部は常に頭頂部と正しい割合を保っていなければならず、決して小さく見えてはなりません。
頭部は乾燥しており、皺は見られません。
しかし何かに注目している時に頭頂部に出来るしわは自然のものです。鼻根の両側から下にのびている皺は、常にはっきりと認める事が出来ます。
黒い色のマスクは鼻口部に限られ、また顔つきが陰険にならないように、頭部の色とはっきりと区別されなければなりません。
【上頭部】
『頭』
上頭部はすらりとし、かくばっていなければいけません。
『蓋』
頭頂部は軽く湾曲しており球のように丸くても、又、平らでも幅広すぎてもいけません。後頭部が高すぎてもいけません。
額の皺は僅かに認められる程度で、特に眼と眼の間には深く刻まれてはいけません。
『ストップ』
額は鼻梁と共にはっきりとしたストップを形成しています。
鼻梁はブルドッグのように額にめり込んでいたり、また下向きへ下がっていてはいけません。
【顔貌】
『鼻』
鼻は幅広く黒い、また軽く上をむき鼻孔は広く開いています。鼻の先端は鼻根よりも幾分高く位置しています。
『口吻』
口吻は力強く、立体的に発達しており、とがっていても巾狭くても短くても平らであってもいけません。
更に、その形態は
  1. 顎の形状
  2. 犬歯の位置
  3. 唇の性状
によって影響を受けています。
犬歯は充分に長く、出来るだけ互いに離れている事によって鼻口部の前平面が幅広くほぼ四角形状となり、鼻梁と鈍角を形成しています。
上唇の縁は、前方から見て下唇の縁に被さっています。
下唇を含めた下顎の上向きに反っている部分、すなわち顎は、上唇よりも前方へ著しく突き出ていても、出方が少なくても、見えなかったりしてもいけません。むしろ前から見ても、側面から見ても良くはっきりと見えなければなりません。
しかし、口を閉じている状態で下顎の犬歯や切歯が見える事はありませんし、舌が見える事もありません。上唇の割れ目は、はっきりしています。
『垂唇』
垂唇は口吻の形状を整えています。上唇は、厚くて脹らみがあり、下顎の突出によって出来た空間を犬歯が下から支えています。
『顎と歯列』
下顎が上顎よりも突き出て軽く上方へ湾曲しています。咬む力は非常に強力です。上顎は幅広い部分で頭頂部に繋がり、前方に向かってほんの僅かに細くなっていきます。歯は力強く且つ健康です。切歯は出来る限り整然とまっすぐに並び充分な大きさの犬歯は互いに広く離れています。
『頬』
頬は力強い顎に対応してやはり力強く発達していますが、際だって隆起している事はありません。むしろ軽く湾曲しながら口吻へと繋がっています。
『眼』
暗褐色の眼は、小さくても、前に出ていても、窪んでいてもいけません。情熱(活力)と知性を表わしており、威嚇や刺すような鋭さを表現してはいけません。目は黒く縁取られていなければいけません。
『耳』
自然のままの耳は、適切な大きさをしています。頭頂部側面の一番高い位置に付いて
【体型】
『首』
線のくっきりとしたうなじの隆起を伴い、キ甲まで優美な曲線を描いています。
『体躯』
正方形でまっすぐな力強い四肢に支えられています。
『キ甲』
はっきりと見えていなければいけません。
『背部』
腰部に至る背部は短く堅固で幅広く真っ直ぐであり、強靱な筋肉で覆われていなければなりません。
『尻部』
軽く傾斜して緩やかに湾曲し、幅は広く、骨盤は長く、特に牝の場合は広い幅を要します。
『胸部』
胸は深く肘にまで達しています。胸深は体高の半分です。前胸部は良く発達しています。肋骨は良く湾曲していますが、樽状にまるくはなく、ずっと背後にまで達しています。
『下腹部』
胸部の下線は後方へと優美な曲線を描き、腹部で軽く巻き上がります。脇腹は短く引き締まっています。
『尾』
付着部は、低いというよりは むしろ高い位置にあります。尾は自然な状態のままです。
断尾は許可されており断尾された尾は上方にのびています。
【四肢】
『前肢』
前から見た場合真っ直ぐで、互いに平行で骨は強くなければなりません。
『肩』
肩は長くまた傾斜しており、その付き方はしっかりしていますが、あまり厚い筋肉で覆われてはいません。
『上腕』
上腕は長く、肩胛骨に正しい角度で結合しています。
『肘』
肘は胸壁に強くつきすぎても離れていてもいけません。
『前腕』
前腕は真っ直ぐで長く、筋肉は強く良く乾燥しています。
『前肢手根関節』
力強くはっきりと認められますが、目立ちすぎてはいけません。
『前肢中手部』
短く、地面に対してしっかりと垂直に立っています。
『前肢指骨部』
指骨部は小さくまるく引き締まっています。蹠球は固く、厚く弾力性があります。
『後肢』
後肢は非常に強い筋肉で覆われています。筋肉組織は板のように堅く、皮膚を通してはっきりと見て取れます。後方から見て真っ直ぐでなければいけません。
『大腿部』
大腿部は長くて幅広い、股関節および膝関節は出来るだけ鈍くないのがよいです。
『膝』
膝は基本姿勢を取った時、出来るだけ前方になければなりません。すなわち、寛結節部から地面に引かれた垂線と接する位置にあります。
『下腿部』
筋肉は強く発達しています。
『飛節』
飛節ははっきりと認められますが目立つほどではありません。その角度は約140度です。
『後肢中足部』
中足部は短く、地面に対して95~100 度の角度です。
『後肢趾骨部』
前指よりも幾分長く、引き締まっています。蹠球は固く、厚く弾力性があります。
【歩様】 嬉々として、力強く、気品があります。
【皮膚】 乾燥し 弾力性がありますが、皺はありません。
【被毛】 短く、固く、光沢があり体にピッタリ着いています。
【色】 茶又は縞。茶色には、明るい茶色から濃い赤鹿色まで様々な色調が存在しますが、最も美しいとされるのは その中間にある赤茶色です。マスクは黒です。
縞模様には、茶を主とする地色の上に 濃い色又は黒色の縞が肋骨の方向に走っています。地色と縞は、互いに明瞭でなければなりません。ホワイトマーキングは原則として許されています、と言うよりもむしろ好まれています。
【サイズ】 サイズ:キ甲から肘を通り、地面までを測る。
牡:57~63cm
牝:53~59cm
体重
牡:30kg 以上(体高が約60cm の犬の場合)
牝:約25kg(体高約56cm の犬の場合)
【欠点】
スタンダードの規定と一致しない部分は欠点とみなされ、相違の程度に寄って評価が判断されるべきです。
『行動と気質』 攻撃的な行動、陰険、背信、信頼できない、稟性の欠如、臆病
『頭部』 気品や表現力が欠如している、陰険な顔、ピンシャーやブルドックの様な頭部、涎を垂らしている、歯や舌が見える、尖った口吻や 軽く見える口吻、下がっている鼻梁、淡紅色或いはウィンターノーズ(季節によって鼻の色素が抜ける)、明るい色の鼻鏡、淡い禽獣眼、白い瞬膜、断耳していない状態でひらひらしている耳・半立ちの耳・立った耳、ローズイアー、断耳のまずい耳、埋もれている下顎、歯の縁が斜めになっている、不正な歯並び、弱い歯、疾患による不適格な歯
『首』 短く太い首、頸部や咽喉の皮が弛んでいる首
『体躯』 前躯の幅が広すぎる犬 、 前が低い犬、垂れ下がった胴、鯉背、凹背、貧弱な背部、長くて幅の狭い沈んだ腰部と尻部の結合が弱い犬、湾曲しすぎた腰部、斜尻、狭い骨盤、垂れ下がった腹部、窪んだ脇腹
『尾』 尾の付け根が低い、曲がった尾
『前肢』 フランス肢勢(X状肢勢)、緩い肩、緩い肘、弱い前肢手根関節、兎趾、平たく開いた指
『後肢』 貧弱な筋肉。角度不足 或いは角度の深すぎる後肢、O 脚、X 脚、飛節の間が狭い、狼爪、兎趾、平たく開いた趾
『歩様』 よたよた歩く、歩幅が狭い、側対歩、ぎこちない歩様
『毛色』 口吻部以外に及ぶマスク。間隔の狭い 或いは余りにも薄すぎる縞、頭部の全て 或いは片側のみ白くなっているような、綺麗とは言えないホワイトマーキング、白色が地色の3 分の1 以上を占める、トーンの違う色が交じり合っている、汚らしい地色、認められた色以外の色
『注意』 牡犬は、正常に成育した2個の睾丸が陰嚢内に存在していなければなりません。