警察犬協会指定犬種

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警察犬協会指定犬種
ラブラドール・リトリーバー

ラブラドール・リトリーバー

ラブラドールリトリーバー

ラブラドールリトリーバー

【原産地】 イギリス
【起源】  この犬種のルーツについては、ベールに包まれていますが、17世紀の後半から18世紀の前半にかけて、カナダのラブラドール地方に祖先犬と思われる犬種がいたといわれています。
 この地方の人達は、極寒の気象条件を克服し、厳しい風雪に耐える頑健な作業犬として使役していました。その後、イギリスに渡って、上流階級のハンター達が性能の向上と純粋性の維持に心血を注いだことが、今日の繁栄の基礎となったのです。特に獲物の回収運搬が得意なためリトリーバーの名前がつけられました。
 このような背景が、頑健な体質、優れた嗅覚、ダブルコートの被毛、太い尾の特徴を持つ現在のラブラドール・リトリーバー犬種を誕生させ、警察犬、猟犬、盲導犬としては勿論、家庭犬としても高く評価されています。
【体高】 牡・56~62㎝ 牝・54~60㎝
【体構比】 特に決まっていません
【言語性別】 牡(Male)・牝(Female)

ラブラドール・リトリーバー スタンダード(標準書)

当協会は世界ドイツ・シェパード犬団体連盟(WUSV)に加盟している一員として、ドイツ・シェパード犬協会の制定した標準に則した規格を採用しています。

【一般的外貌】 からだつきは逞しく、非常に活動的で胴は短く、頭蓋の幅は広い。胸部も幅は広く、深い胸をしている。腰部と後肢は力強さがあり、幅も広い。
【解説】 ラブラドールは逞しく頑健であって、頭部も体躯も幅広く、短胴であってサイズの割には量感に富んだ犬種である。構成は均整的であって、アンバランスであったり、体幅が乏しかったり、貧弱ではないのである。普通は穏やかで、自信のある雰囲気を持っている。作業に当っては行動的で意欲的であって、困難に耐えられる忍耐力と体躯を備えている。
ラブは初期時代から長い犬史に拘らず、他犬種のように目立って変わっていない犬種である。KC標準の前文に「大都市ではなく、田舎紳士的な雰囲気があり・・・」というように、飾りけがないが、豊かな資質を持った犬種なのである。
【性格】 調和のとれた性格である。知力は鋭敏。ソフトな口(獲物にダメージを与えずに持って来ることができる)と、優れた嗅覚を持っている。しかも水に入ることを好み、献身的で順応性のある”仲間”である。
【気質】 聡明、鋭敏、柔順。思いやりのある性格で、いつも喜んでもらいたい、という強い意志が感じられる。また理由のない攻撃をしたり、はなはだしく臆病であったりすることは、まずない。
【解説】 利口で飼い易い稟性が現代社会に受け入れられ、広くファンを獲得しているのである。盲導犬としてだけ知られていた犬種であったが、優れた嗅覚力が麻薬や爆薬の捜査犬として活用され、今ではガンドッグとしてではなく、有能な使役犬として活躍するに至ったのである。
【頭部・頭蓋】 頭蓋の幅は広く、はっきりとしたストップを持ち、頬はすっきりとして余分な肉がついていないが、輪郭ははっきりとしている。顎の長さは中位で力強い。しかし尖り過ぎ(剪断形)てはいけない。鼻は広く、鼻孔は充分に発達している。
【解説】 頭部は広く恰好よく、軽度の丸味を持ち、後頭骨や頬部の目立つ突起や隆起はないが、ストップははっきりしており、頭部はよく性相を表現し、乾燥して、粗野であったり、シワもなく幅狭く、貧弱でもない。
口吻は真直で適度に幅があり厚味もあって、中程度の長さで強靭である。吻先は四角く、下顎も丈夫で、口吻が長過ぎたり、尖っていたり、ディッシュではない。口唇は締まって下垂してはならない。鼻色についてはブラックは黒く、イエローは黒又は濃褐色、チョコレートは濃い褐色かレバー色である。冬期にイエローとチョコレートは鼻鏡の色素があせるウインターノーズ(冬鼻)といって、鼻鏡の中心部から赤鼻になることが多い。
シェパード犬でも寒い地方で飼育されている犬に幾分淡色が見られることもあって、夏になると直るが、ラブの場合殆どそのままの状態が多い。紫外線の不足からくるメラニン色素の減退であるが、これは許されている。しかしダッドリーノーズという色素形成不全のピンクの鼻は、アルビノで重大欠点とされる。ウインターノーズの場合は鼻鏡の周辺に、基色が僅かに残っているので判断材料となる。
【目】 サイズは中型で、知性と優れた気質が現れている。色は褐色又は薄茶色である。
【解説】 目の大きさは中型で楕円形である。穏やかで知性と優れた気質が表現されていることで、出目であったり、接近したり、三角の険相な目や小さな目や垂れ目ではない。目色は褐色がよく、なるべくどの毛色でも淡色よりは濃いことが望ましい。目の縁はどの毛色でも鼻色と同様の色調で、色おちしているようでは好ましくない。
【耳】 大きくもなければ、厚ぼったくもない。頭部に接して下がり、やや後ろに位置する。
【解説】 頭部に調和したもので、幅が広く大きなもの、厚過ぎないもので、附着位置は高過ぎたり、低過ぎたりすることなく、頭頂より僅かに下がって、後方側面に接して三角状に垂れていることである。
【口】 顎と歯は頑強である。完全で規則正しい鋏状咬合をしている完璧な歯で、完璧な歯とは、即ち上の歯が部分的に下の歯とぴったりと重なり合っていて、顎に対して直角についている。
【解説】 顎と歯は頑強であって、歯は白色で四十二本の永久歯が完全に揃っていることである。咬合は鋏状であって、アンダーやオーバー両咬合は失格的欠点である。切端咬合も磨減を考えると好ましいものではない。イギリス、アメリカも咬合については厳しい意見であるが、欠歯となると寛容であり審査員の裁量に任せられる傾向がある。外人の審査を見ると専ら咬合に視点が行っているように見えるのである。KCでは使役犬と並んでガンドッグも欠歯には厳しくといっていて、一~二本までは許容するとなっているようであるが、実際には甘く、クラフト展’93のベスト オブ ブリード犬にも欠歯が目立ったのである。AKCでは欠歯はどの歯でも二本まで而し仮に第二と第三前臼歯が接続して、欠歯の場合は認められないとなっているようである。フランスも二本まで。ドイツは第一前臼歯まで認めるが成績は下げるとなっていたが、現在ではドイツらしく完全歯となっているようである。わが協会は早くからドイツの影響を受け、欠歯には厳しいがラブの場合、原産地ではないので、そのまま適用するのは得策ではない。しかし欠歯をそのまま是認することは好ましくなくないので、次のように決め当面はこれを審査会で適用しているのである。
欠歯は「第1、2、3、4」前臼歯の合計4本まで(連続も可)とし、その他の欠歯については、順位に影響することもある。
【頸】 すっきりして、逞しく、力強い。両肩に正しくついている。
【解説】 首は猪首でなく、すっきりとして逞しく、筋肉も強靭であることで、重い猟鳥をくわえた頭部を支える首は弱々しかったり、細長くなく、中位の長さであって、下垂したデュラップもないことである。
【前躯】 両肩は長く、そして傾斜している。前躯部の骨組はしっかりとして、前または横から見た時に、前肢は肘から地面へ真直に伸びている。
【解説】 肩胛骨は長く45°に傾斜して発達した筋肉に包まれ、上腕骨とは直角にしっかりと接合していることで、それによって発達したよい前胸が形成される。上腕骨が短く峻立してないことである。前肢は真直に伸びて筋骨逞しく、細格であったり、短肢でなく中位の長さである。肘付きは緊密で外転して弛んだり、圧着したりしてはいない。前繋は幾分傾斜しており、過度の傾斜や軟弱であるのは好ましくない。前肢は前望して正常肢勢で立ち、外向したり、O状、狭状肢勢ではないことである。
【胸】 尾はふさふさと毛がはえていること、そして少なくとも飛節(ひせつ)まで届き、フ前部の中間を越えて外へ凸出してはいけない。尾によっては、先が、わきに曲った釣針型になることがある。休息中は、ゆるやかな弧を描いて垂れているが、興奮したり運動したりすると著しく弓なりになって上に上げられる。然し水平線を越えて上に上げるべきでない。それ故、尾は、真直でも背中に巻き上げて置くこともいけない。人工的に短かく切りつめた尾は許可されない。
【前肢】 胸部は幅が広く深い。そして肋骨は樽状で、充分に弾力がある。トップラインは水平である。腰部の幅は広いが、カプリングは短く力強い。
【解説】 ラブの胸幅は広く充分に深くあるべきで、胸部は肘までの深さが望まれる。欲を言えばラブの場合肘下までたっぷりとあって、肺や心臓の収納容積が広く欲しいもので、肋骨は張って樽状になる程としている。しかし過肥で深かったり、短肢に見える程の深さでは好ましくない。
樽状という表現はよく張った肋骨の意と解したい。ラブの体質は締まった筋肉質であって、軟弱ではない。平肋であったり、胸部不足は好ましくなく、腹線は下胸に沿って深いが、最後には幾分締まり、巻き上がることはない。ラブの体型は方型であるといわれるが短か過ぎることなく、ラブの印象からいってゆとりあるやや長方形(特に牝は)の体型であっても認められる。
キ甲は隆起発達し、背腰部は水平堅固であって、凹背や鯉背、長胴などではない。尻部は軽度に丸味を帯びて傾斜しており、水平尻や高尻、斜尻ではない。
【後躯】 正しく発達している。尾の方向には傾斜せず、膝関節は充分に曲っている。飛節は充分に低下していることで、牛状飛節はとても望ましいとは言えない。
【解説】 後躯は各部の角度充分で、筋骨発達した力強いものであり、股幅も厚く発達し、大腿骨と膝関節はよい角度であることで、膝関節が充分に湾曲していないと、よい後肢は構成されない。下腿骨は骨長充分であって、座骨端から地上に垂直に降ろした線より、幾分後方に飛節が低く位置するのが望ましい後肢といえる。
乾燥した強靭な後繋は垂直に地上に立つのがよい。下腿骨が短く、膝関節の角度が浅いと直立した後肢になり、下腿骨が過長でオーバーアンギュレーションとなるようでは後肢は軟弱になり、牛状肢勢、O状、狭踏肢勢なども好ましくない。後肢は歩様の際、推進力の起点として強健であることが望まれる。
【趾】 丸く引き締まっている。弓状によく曲がった指趾と充分に発達したパッドをしている。
【解説】 厚く丸く緊握していて猫趾状である。指はよくアーチし弾力性ある発達した趾部であることで、厚味のない平趾や指間の開いた拡趾、又は伸びた兎趾であったりでないことである。爪は短く力強く下方に向き、黒色、アメ色であって白色ではない方がよい。

『狼爪』
狼爪は大抵後脚に見られて、誕生第一日目に除去しなければならない。
【尾】 はっきりとした特徴がある。基部は非常に太く、先端にいく程に徐々に細くなる。長さは中位。フェザリングはない。しかし密生した短い被毛で全体が厚く覆われている。”かわうそ”の尾のような「丸み」を持っていると記述する所以である。尾は陽気な動きを見せるが、背中に巻き上げることをしてはならない。
【解説】 短く密生した被毛で覆われた太く、丸味をもったオッターテールで、根元は太く、先端はゆっくりと細くなっている。ラブの太い尾の仕上がりは遅いものでもある。長さは飛節辺りまでで、短か過ぎたり、細く過長であったり、尾癖や飾り毛もないことである。尾の付根は軽度に傾斜した尻部に自然にかなり高くつくのがよく、高過ぎたり、低くつくのは好ましくなく、よい付き方ではない。
尾は水平か、やや上方に向かって快活に間断なく振られるが、背中に巻き上げたりすることはない。尾は水中作業を得意とするラブとしては、重要な舵の役目を果たし、性格を表現するものでもあって、股間に入れるようでは安定性を欠くものとして好ましくない。
【歩様】 動きは伸び伸びとしている。前部と後部が真直で正確であることは、地面に対して適切な動きをすることになる。
【解説】 歩様は自然的で無理のない、意欲ある円滑なトロットの運歩が望ましい。前後肢は真直に伸び持久性があり、歩幅もあるべきである。ラブの歩様は頭部を上げ、体型を崩すことなく、ハツラツとして尾を振りながら迅速な運歩をすることである。こうした歩様は正しい体躯構成、即ち前後躯の良角度と堅固な背腰部、強靭な骨筋と力強い後肢の蹴り、それに活力ある気質の総合から生じることになる。前後躯の角度不足は短歩となり、伸びやかさはなくなるし、前躯上腕部の短峻は高踏みとなり、前進力のマイナスとなる。後躯も直立気味では蹴りが弱く、推進力が乏しくなる。凹背や過肥では動揺したり、牛状肢勢など肢勢が悪いとよい運歩の障害となる。頭部を下げる癖とか横引きなども直しておけば、審査会に出陳した際は楽であり、好成績の期待も持てよう。
ラブにもHD(股関節形成不全)の心配があり、HDはシェパード犬だけのものではない。後肢がもつれたり、力強さがなく疲労が早かったりと、運歩にスムーズさが欠けるし、進行すれば疼通を訴えることにもなる。無関心な運動は犬を側対歩のまま習慣づけることもあるので注意したい。
【被毛】 はっきりとした特徴がある。短くて密生している。ウェーブやフェザリングはない。感触はかなり堅い。またアンダーコートは悪天候(風雨)に耐えられる。
【解説】 被毛は短毛種で直毛であり、触ると感触の硬い上毛と深く密生した下毛の二重層になっている。水中作業や全天候に耐えられる丈夫な被毛で、ウェーブがあったり、軟性であったり、飾り毛は持っていない。短毛種の中には、冬期ヒーターが必需品になっている犬種が多いが、ラブも室内飼育が増えて、下毛が乏しくなり、その必要性が起きてくるようにはしたくないものである。
【毛色】 全体がブラック、イエロー、チョコレート(レバー)。イエローの範囲としては、淡いクリームからレッド・フォックス(きつね色)までで、胸部の白い小さなスポットは許される。
【解説】 ラブの毛色はブラック、イエロー、チョコレート(レバー色)の三色である。全て単色であって、斑点模様があってはならない。イエローの毛色は、淡いクリームからレッド・フォックスまでの幅があり、チョコレートも明るいこげ茶からチョコレートまでの濃淡がある。イエローでは淡いクリームまでであって、白ではない。前胸部に出る小さな斑点は許されている。大きな白斑や白タビは犬種の純枠性が疑われることになる。多い毛色はイエローとブラックで、チョコレートは極めて少ない頭数である。
【サイズ】 キ甲までの理想の高さ 牡 56~62cm、牝 54~60cm
【解説】 ラブは行動し易い中型犬であって、KC標準はセンチで牡56~57、牝54~56であるが、AKCの標準ではインチで牡22.5~24.5、牝では21.5~23.5となっている。標準としては最も相異するところで、両国の輸入犬を考えKCでも実際には大型化していることも考慮に入れて、協会ではこのように決めたのである。しかし、あまり大型化してはラブの持ち味を損うことになるので、この標準の中間点を目標に育てあげるべきであろう。逆にサイズ不足は牡、牝共欠点となる。牡で生後1年、牝では8ヶ月でほぼ発育の伸びは止まり、サイズが決まることになる。
【欠点】
どんなことでも前述した内容を出発点として考えるべきである。そして欠点については、その欠点の程度がどれ程のものかを正しく考えることが、重大なこととなる。
【解説】 まず標準をよく認識してから、欠点の程度は慎重に考えて、ということであろう。
(注) 牡では、2個の正常な睾丸が、充分に陰嚢の中に降りている。
【解説】 牡の場合、睾丸が2個、適度の大きさで(左右均合して)股間に下るが先天的なもので片睾丸又は隠睾丸ということがある。早い発見により男性ホルモンの注射、外科手術を適期に実施して、正常に戻れば失格となることはない。