警察犬協会指定犬種

コリー

コリー

コリー

【原産地】 イギリス
【起源】  古くからスコットランドで牧羊犬として飼育され、その献身性と優れた作業能力は牧場において不可欠の助手として認められていました。19世紀の中頃、たまたまヴィクトリア女王がスコットランドを旅行中に、その優雅なスタイルに魅了されこの犬種を愛育するようになりました。この事が一般にも知られ普及するようになりました。
 わが国ではアメリカのテレビ番組「名犬ラッシー」がテレビ放映されたことで爆発的に流行しました。ともすれば観賞犬的に陥りがちな傾向がありますが、使役犬の中でも最も優美なタイプを誇り、外貌の魅力だけでなく、この犬種のもつ本質的な優れた性能が評価されています。
【体高】 牡・56~66㎝  牝・51~61㎝
【体構比】 10対11
【言語性別】 牡(Male)・牝(Female)

コリー スタンダード(標準書)

【コリー犬種の特徴】  コリーは、犬体各部の構成がバランス良く調和がとれていることが理想である。警察犬は、使役犬であることから全体として機能を合理的に果たし、性能と体のバランスが最も重要である。
 使役犬である行動を果たし得るには、稟性と体躯の充実度が必要で、従って知性に溢れた品格を持ち、動作は軽快で即応性の富み、強靭でしかも常に新鮮な行動力と犬種感度を持ち、最後まで使命を達成するという能力が要求される。つまり、人間と協同生活を営み得る家庭犬であり使役犬でもある。
【頭部】 
1. 頭部は犬の明朗・活発・敏感な表情及び品位の充実度に影響が大である。
2. 大き過ぎることなく、重過ぎず、犬体にマッチした軽快な感じが大切であり、スカルとマズルが等長であること。頭蓋の側面が外に張り出しているもの、鼻梁の側面がひっこんで細くなっているものは好ましくない。
3. 頭蓋部の上面が平面でなく、後方に傾斜したもの(ダウン・フェイス)、後頭骨が高く前方にながれたもの(ディッシュ・フェイス)は共に望ましくない。
4. 鼻梁の先端は清らかで丸味を帯びて、あまり鋭角でなく、また直角でなく、前方側方から見ても、なだらかですっきりとした輪郭であり、均整がとれていなければならない。
【歯】
1. 正常な歯は鋏状に噛み合っていて、歯列が良く、程よい大きさで、欠歯がなく、健全である。
2. 咬合において、オーバーショット・アンダーショットは不正咬合であり、欠歯、過大又は過小及び不潔は欠点である。
【眼】
目はコリーにとって最も大切な部分で、気品・知性・心情などの表情が現れる重要な部分である。
1. 中等の大きさで、生々として表現力に富んでいること。
2. 形はアーモンド(巴旦杏)型で、ブルーマールを除いては毛色に相応しく調和していなければならない。暗褐色が良いとされている。
3. 両目が離れすぎたり、近すぎないこと。瞬膜の大きいものは好ましくない。
【耳】
1. 環境による精神状態を表現したり、表現の変化を示す重要な部分である。
2. 耳が正しく保持されることで、優雅さと表情が充分に生かされる部分でもある。
3. 正しく自然に先端が、1/3ないし1/4垂れていることが良いとされている。
4. 大きすぎたり、逆に小さすぎたり、頭部の大きさに対し釣り合いがとれないものは好まれない。
【頸】
1. 頸を高く持ち上げ、昂然として誇り高い表現の保持が理想的である。
2. 筋肉質に富み、逞しくしっかりして、且つすっきりとした力強さがあり、豊富な飾り気で被われているべきである。
3. 短い頸や頸上げが悪くバランスに欠けることは、表現力にマイナスであるので好ましくない。
【胴体】
1. いかなる過激な運動にも耐え得る胴体で、筋肉質でがっちりとした骨量でなければならず、バランスのとれた胴体に美しい被毛を纏うことによって価値が左右されることもありうる。
2. 良好に傾斜した肩から真っ直ぐなバック・ラインが理想的である。
3. 胸深は体高の半分を必要とし、肘は体高の1/2の高さにあり、胸が肘に達していなければいけない。
4. 正しく体躯は、体長が体高に比べて稍長く、体構比は11対10で、背が長いことではなく背はむしろ短く、胸はよく発達し、充分に肋骨が張り、胸底は肘まで達した舟底型でなければならない。
5. スウェー・バックや背が過長であったり、靭帯が弛緩し全体的に力強さを感じさせないものは好ましくない。
【肢】
1. 前肢は、後肢からバック・ラインを伝わってくる推進力を受ける重要な役割を担っている。
2. 前肢は特に、肩の傾斜、上腕骨、肩胛骨などの正しい角度が重視される。
3. 前肢は垂直で、筋肉及び骨量に富み、すっきりしないのは望ましくない。
4. 後肢は、大腿部が筋肉質で強靭であり、全体が正しい角度を持って構成されていなければならない。
5. 後肢は、前進運動の起動力であり、大腿骨とりわけ膝関節などの後肢関節の角度が重要である。
6. 総合的に、前・後躯のバランスがとれていなければ正しい歩様は望めない。
【歩様】
1. 使役犬であるコリーの歩様は、最少のエネルギーで最大の力強さと耐久性のあるコリー独特の流れるような美しい優れた歩様であるべきである。
2. 歩様時は、前後肢がすべてボディー下の縦軸線上の一本の線上を四つの足跡が全部踏んで歩くような単軌歩様(シングル・トラック)で、速度の速い歩様であり、コリーにとって基本歩様である。
3. 前肢が交差せず、後肢が力強く推進力に富むこと。
4. 歩様が重かったり、側対歩や高踏み、後肢の力強さの不足或いは縺歩は好ましくない。
【尾】
1. 尾は、眼とともに感情表現の機能を持ち、心情が正しく表現される重要な部分である。
2. 尾を使って巧みに急旋回をなめらかにし、舵の役目や体温発散なども行うことができる。
3. 静止時は支持が低いが、運動時には上げる。尾は長く真っ直ぐで、飛節またはその下に達する。
4. 常時巻き上げたり、背の上まで巻き上げ先端部より上の方が左右にねじれていることは、美格を損なう。
【被毛】
1. コリーの被毛は、犬体の各部分がそれぞれ必要とする長・短毛で、上毛は粗剛な手触りの直毛であり、下毛は軟毛で密生したものである。使役犬として作業を達成するためには、寒気(雨・風雪)に耐え、炎暑から身を守り、体温を維持調節する役割を果たしている。被毛の艶・密度は健康状態のバロメータでもある。
2. 被毛の各部分の豊かさをトリーミングにより強く印象付けられるとともに、バランスの良好な体形をみせることができれば、部分的な短所をカバーすることもできうる。
3. 被毛全体の不足、ウェーブまたはカール及び絹のような細く柔らかい毛は美観を損ない好ましくない。
【毛色】
1. コリーの毛色は、セーブル・トライ・ブルーマール・ホワイトの4種に分けられている。
2. セーブルは、大部分が茶色で、頸・四肢・尾端に白色が普通であり、茶色が薄く白勝ちの毛色は好まれない。
3. トライは、身体の大部分が黒色で、頸部や四肢などに部分的な茶が、頸・胸部・四肢・尾端に白色部があり、黒は全ての色に優性のパーセントが高い。黒色が茶色っぽいものや退色は好まれない。
4. ブルーマールは、大部分が青灰色と黒色で、白色は頸・胸・四肢・尾端などにあり、黄褐色は頭・四肢など部分的にあって、大理石模様の配色が多い。
5. ホワイトは、全身の体表面積のおよそ75%以上が白く、頭部は必ずベースとなるセーブル・トライ・ブルーマールの毛色を持つ。
ブルーマールヘッドでは、繁殖に注意が必要である。
【サイズ体高】
1. 牡(56~66cm)・牝(51~61cm)が標準であるが、JCCでは牡(55~65cm)・牝(50~60cm)で僅かの差がある。
2. ショー・スタンスにおいては、バランスのとれた大きさで、過大または過小に見えないサイズで、一般的には牝は中等の大きさで、牡は牡らしく稍大きめが見映えがする。